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2017年10月11日 (水)

内容はシリアスながらも爽快。/ドリーム

320

2017年アカデミー賞の多くの作品にノミネートされ
本国では「ラ・ラ・ランド」よりヒットした
実話ベースのヒューマンドラマ。

【あらすじ】
1960年代。アメリカのNASAは、
ソ連との宇宙開発競争が激化。
NASAにはロケット飛行に必要な計算を行う
黒人女性の部署があった。

その中でも卓越した計算能力を持つキャサリンは
より重要な中枢の本部に異動になる。

しかしそこは彼女以外は全て白人、
ほぼ男性で構成された部署だった。

同じNASAに勤める彼女の友人メアリーとドロシーも
黒人女性というだけで、様々な困難にあうも、
持ち前のガッツで乗り越えていくうちに
人類初の有人宇宙飛行プロジェクトに関わっていくことになる。

【感想】
完璧すぎて、突っ込みどころがない。
一切の無駄のない超絶エンタメ映画だった。

NASAが舞台ながらも
根底にあるのは黒人に対する差別。
その重いテーマをシリアスにならないよう、
うまい具合にエンタメ要素を絡めて仕立ててある。見事。

主人公の3人の黒人女性たちの差別は想像を絶する。

・道路で車を修理しているだけで警察に厳しい職質を受ける
・職場から「非白人専用トイレ」へ行くまで片道約1キロ。
・バスの座席は白人が前・黒人は後
 (黒人の乗ったバスが放火され、バスから逃げ出したら
 そこに白人が待ち構え黒人が袋叩きにされるという事件が起きた)
・図書館で探している本が見つからないので白人エリアに行ったら
 警備員につまみ出される
・コーヒーは白人と非白人に分けられ、
 非白人の方は自分で作らなければならない。

今回の主人公たちは黒人ということに加えて女性。
映画から察するに、男社会のNASAでは、さらに肩身が狭い。

そんな逆境の中、天才的な頭脳を持つキャサリンをはじめ
2人の友人たちの物怖じしない姿勢が痛快。

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↑キャサリン

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↑ドロシー

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↑メアリー

黒人女性だからと、助手程度にしか見られていなかったキャサリンが
NASAの本部の重役たちの前で、彼らが頭を突き合わせても
答えを見出せなかった数式をいとも簡単に解いてしまい、
重役たちが唖然とするくだりは
「そら、みたことか」と胸のすく思い。

そしてキャサリンは、NASAで、人類史上
「前例のないこと」を成し遂げていく。
キャサリンにとどまらず、メアリーとドロシーも
新しい歴史を作っていく過程は素晴らしい。

ハイライトのひとつに、
キャサリンが本部で仕事をバリバリこなすのだが、
前述の通りトイレが往復2キロもあるため
離席していることが多くなる。

それを知った上司ハリソン(ケヴィン・コスナー)が
「君は、いつも席にいないじゃないか! いったい何をしているんだ?」
という問いに対するキャサリンの回答と、
それを聞いたハリソンが取る衝撃の行動。

この映画、ストーリーの完璧さに加えてキャストがすごい。
3人の主人公は勿論なのだが、
キャサリンの上司、ハリソン役の
ケヴィン・コスナーが素晴らしい。

宇宙飛行士を無事に宇宙に届け、
地球に帰還させることだけを信念とするアツい男。
そのために必要な重要な人材に肌の色は関係ない。
という考えの持ち主。

彼自身が黒人に対して個人的にどんな考えを持っているのかは
劇中描かれてはいないが、仕事熱心なのか
目的のものにしか興味がないのか、他の職員に比べて
ハリソンは差別的な行動はみせない。

ゆえに、黒人・女性というフィルタを取り去り
キャサリンの能力と人間性を尊重するハリソンの言動は
とても印象的だった。(人として当たり前なのだが)

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そして、久しぶりにお見かけした気がする、
キルスティン・ダンストも出番は少ないけど
存在感バリバリ出てた。

かなり嫌な感じのドロシーの上司。

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キャサリンの恋人役には
これまたアカデミー賞作品賞に輝いた
「ムーン・ライト」で、印象的な
ドラック・ディーラーがはまり役だった
マハーシャラ・アリがいい感じで熱演。
今回は一転、軍人を演じている。

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前述の通り、この映画は実話ベースで、
キャサリン本人はご健在で97歳。
先日、彼女のNASAに対する功績をたたえ
施設に彼女の名前をつけたそうで。
ちょっと遅すぎる気もするけど。

NASAという、世界の最先端をリードする割に、
中身や職員はベタベタの黒人差別な人たちや
その風習がありありと存在してたのが、なんだかな。
という感じでもあった。

劇中、黒人と白人が歩み寄りを
見せそうな場面もある。
しかし彼らは目を合わせて
会話しているようでいて
それは鏡越しであって、
実際は目を合わせていない。

全編通して痛快に描いてはいるものの
人種間の火種は少しも消えてはいない。
という事を叩き付けられたようなシーンだった。

と、アメリカの宇宙飛行計画の裏側に
こういう出来事があったのだ。と知れるだけでも
大いに見る意味のある教科書的な映画だと思う。

公開館数は決して少なくはないのだが
日本の興行成績初登場7位というのは
なんとも寂しい数字だ。

これこそ、観るべき映画だと思うのだが。


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